ぴぃこの転職活動日記

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映画『オアシス:スーパーソニック』感想

久しぶりの音楽映画

先日、音楽ドキュメンタリー映画を10年ぶりくらいに見に行きました。

こんなに濃密なロック映画は紹介しないわけにはいかないので、珍しく映画レビューしちゃいました。

『オアシス:スーパーソニック

イギリスのロックバンド、オアシスの結成から、ネブワースで史上最大規模の野外ライブを成功させるまでの軌跡をまとめたドキュメンタリーです。

オアシスって何?

20年前に全盛期だったバンドなので、ブログを読む世代には知らない人も多いかと思います。

さくさくっとググってください!楽曲を聴いてください!

っていうのはあまりに無責任すぎるな笑。

1990~96年にかけて、今までのロックとは別の新しい潮流”マンチェスタームーブメント”が起こりました。ブラーなど、この頃にヒットして今でも人気のバンドは多く、オアシスはその時代を牽引したバンドなのです。 労働者階級出身の彼らがドンドン出世していき達成した、近代音楽史に残る偉業。それが、ネブワースでの史上最大規模の野外ライブです。

ザックリ言うと、「ビートルズ以来、英国発の最大のロックバンドにして、最後の世界的ロックバンド」と頭に入れておけば、この作品は楽しめます。

映画のあらすじ

1991年、マンチェスターに住む労働者階級出身の青年たちで結成されたオアシス。ボーカルの弟リアム・ギャラガーが兄のノエル・ギャラガーをギターに誘い、楽曲制作の兄、歌の弟という形が出来上がります。

兄弟喧嘩、メンバーの脱退、解散の危機。あちこちで騒動を起こしながらも、ライブハウスで人気を獲得していった彼らは英国史上最大規模の野外ライブを成功するまでの3年間を突っ走るのでした。

そんな最強ロックバンドの歴史を、ギャラガー兄弟の母や脱退したメンバーも含めた詳細な証言によってまとめているのが本作です。

兄弟”だけ”の物語

マンチェスターの公営団地から、世界一のロックスターへ。

失業手当をもらいハッパを吸っていた超絶底辺な青年たちが、どのように成り上がっていったのか。

一見サクセスストーリーに見える風体で、映画は進んで行きます。しかし、グループの関係はドンドンとこじれ、瓦解していくのです。

91年から96年の間に幾度となく「最悪の兄弟喧嘩」記録を更新していったギャラガー兄弟と周囲の人々との間には、埋めがたい溝が生じて行きます。オアシスが次々と音楽チャートの記録を更新するのとは反比例にその差は広がっていきました。

それが2010年、ついに解散という形になるのです。

5人制バンドのはずなのに、ギャラガー兄弟”だけ”の力で盛り上がり、彼らのせいだけで壊れていく。それがオアシスです。

そんな彼らのこじれた関係の起源を丁寧に紐解いています。ファンとしては納得の作品です。

ヒリヒリした関係がもたらすもの

同じ親同じ環境の下で育った兄弟なのに、ギャラガー兄弟は性格も見た目もまるで違う上、才能も異なるのでした。

容姿に恵まれ、カリスマ性のある弟。寡黙な職人肌で有無を言わせぬ名曲を作り出す兄。互いの才能をよく知ればこそ、コンプレックスと競争意識が高まります。

この兄弟の間には一種ヒリヒリとした緊張感が常に漂っているのでした。

規範意識がなく喧嘩っ早いのが唯一似ている彼らはツアー中にも度々衝突します。

初のアメリカツアーでは、怒ったノエルがバンドを放って二週間も行方不明になったり、レコーディングに酔っ払いを連れ込んだリアムとノエルが楽器を投げ合う大げんかを始めたりと、喧嘩をしては戻りを作中で何回か繰り返します。

そして、決定的な瞬間が起きます。

ノエルが歌い始めたのです。楽曲制作の兄、歌の弟という不文律が壊れ、リアムの悪感情も増大(まあ、ライブを途中退席したリアムが悪いのですが)。

こうして、ネブワースの時点では収集できないほどに関係はこじれ、オアシス自体も制御不能なくらい膨張していました。

周囲との溝

売れる漫才コンビは仲が悪い

とよく言います。互いに競争意識があってこそ面白い漫才が出来るということです。

オアシスも、ギャラガー兄弟の競争意識で持っているといっても過言ではありませんでした。

というか、兄弟の競争意識だけで持っていると言えるでしょう。

ギャラガー兄弟以外の元メンバーや現メンバーも作中で証言しているのですが、

なんというか、90年代最強のロックバンドを背負っている感じがゼロなのです。

「地元の仲間と音楽やってたら、そいつが才能あって、てっぺんまで着いてきちゃった」みたいな印象でした。普通、メンバーも成長するだろ?と思うのですが、彼らに割って入るものはなく、ついて行くこともできず脱退するメンバー。

また、ネブワースを開催する直前には、オアシスは企業によって一大コンテンツに祭り上げられて行きます。ついにインディーズ時代のスタッフも離れてしまいます。「オアシス」が一人歩きし、兄弟に口出しできるものもいなく、また口出ししようとする気持ちもない人々によって問題は放置されたのでした。

90年代の空気

こんな風に書くと、兄弟のいざこざと栄枯盛衰物語に思えてしまいますが、そこは音楽ドキュメンタリー。貴重な映像資料満載でロック好きにはたまらない仕上がりです。

90年代全てのロックが詰まっているといっても過言ではない!(ブラーのファン、ごめんね!)

ライブハウスでは客がタバコをふかし、ステージ上のオアシスに物を投げつける。カオスを映画館の大画面で追体験できました。

また、制作にギャラガー兄弟が関わっていたこともあり、結成当初の音声やビデオ映像も見ることができました。こんなぶっちゃけた内容で本人監修ってすごいな。。。

「ハッパなんて、朝の紅茶みたいなもんだ」と言い放って国中から批判を浴びても強気なノエルはロックそのもの。

と、今の時代こんなことやったら炎上して謝罪に追い込まれそうですが、突き抜けたスターは全然OKなんでしょう。公私ともにハチャメチャな古き良きロックスターの最後だったのかもしれません。

「こんな時代もあったなー」と懐かしむ人はもちろん、今の音楽しか知らない若い世代には新鮮に映るでしょう。

オアシスファンとしての感想

丁寧な記録と資料映像で、世界一のロックバンド、当時のオアシスと彼らを包んだ空気をスクリーンで再現していて、とてもいい映画でした。

この作品を見ると「なぜ、オアシスが再結成されないか?」その理由がよくわかります。

二人のギャラガーの濃密すぎる腐れ縁とも言える関係に、誰も手出しはできない。「生でライブみたいなー。再結成してほしい」とずっと思っていましたが、頂点を極めた兄弟伝説として再結成せずにいるのも良いと思いました。