ぴぃこの転職活動日記

26歳会社を辞めた私の転職活動日記

『ボクたちはみんな大人になれなかった』感想。究極の青春小説です。

究極の青春

『ボクたちはみんな大人になれなかった』

私は勝手に『ボクなれ』と呼んでいる『ボクたちはみんな大人になれなかった』。

著者の燃え殻さんがどう思っているかはわからないけど、『ボクたちはみんな大人になれなかった』は究極の青春小説だと私は言い切ります。読んだ人だけの青春があったのです。

今まで、青春小説の類は肌に合わず、10年以上手に取っていない私。本書を読んだきっかけはただただ燃え殻さんのTwitterが面白かったから。 「あっ燃え殻さん、小説始めたんだ!」と最初はnote上でなんとなく読み始めただけでした。会社での昼休みの楽しみにすぎなかった小説にどんどん引き込まれていき、中盤からすでに「あ、これ絶対単行本化するな。有料で買うのは待つか」と思いました(単行本はかなり加筆修正されているので、やっぱりnoteの方も買うべきでした)。

『ボクなれ』のなかに普通の若者の恋愛小説ではないものを早々に感じ取っていました。

なんというか、私にとってこの物語には救いが溢れていました。

これから、滔々と「ボクなれ」の魅力を語ります。不幸だった自分に酔っているだけかもしれないけど、私は少しだけあの頃の自分を許せるようになったので、燃え殻さんに感謝しています。

卑屈な東京の日々

本書では、東京で「見つけてもらえなかった」人たちが登場します。主人公ボクもその一人そして彼ら彼女らは、何かにやる気があるわけでもない。努力が報われるわけでもない。大きな夢を叶えるわけでもない。誰かと誰かが言葉を交わして、交わさなくなっていくだけなのです。すごく東京らしくて辛いけど、ホッとしたりもする。

物語に触れて、「そういえば私もその一人だったな」と思わせてくれるのです。

大学に合格したはいいがお金がなくてアパートが決まらない。親戚からお金をかき集めて、奨学金も受けてやっと上京できるようにはなったけれど、周りが優秀すぎて授業についていくのがやっとだった日々。 輝いていない、東京に馴染めない自分が許せなくてどんどん卑屈になって萎れていく。

かと言って逃げ出すことはできない。4年間で結果を出さなければ。でもその結果ってなんだっけ?てか今財布にいくら残ってるんだ?

東京の中で私は「数に入っていない」「ギリギリの国」の住人でした。

夢だの、将来の目標だの考える前に、この街で数に入らなければ。目の前の課題を提出し、バイトをこなした。先のことを考えると頭がおかしくなりそうでニコニコ動画を垂れ流して自室にこもった。

味は薄いけど、苦味だけを舌に残す安酒のような人間関係が勝手に構築されていく。それが青春だと思って大人になり損ねました。

そして今まで、「こんな私の青春はゴミだ。あってはならないのだ」と黒歴史として押し込んでいたのです。

一冊を表す一行

テレビドラマは別れるにしてもハッピーエンドになるにしても、ちゃんと12回で人間関係は集約されていく。だけど現実の最後のセリフは「今度、CD持ってくるね」だったりする。

人生に、予兆や伏線なんてものはない。

現実の別れというのは、結末らしい結末もなく不意に訪れたりする。 友達になった子が突然授業に来なくなったり、バイト仲間がばっくれたり。

私にとって東京はバックレの集積のような街なのでした。

別れはきちんとできるもの、何にでも明確な区切りがあると思っていた当時の私。大学頑張って卒業して、第一志望に入社して、という1クールと、2クール目で素敵な出会いと家庭を持つ、が待っている。そんな浅はかな女子大生にはバックレの集積が許せないでいた。

数年後、名古屋の地に帰ったのち、バイト仲間と友達になったその日に自分がバックレることも知らずに。

「CD持ってくるね」と言ったかおりも、言われたボクも、根っこは同じ。12回では区切れない一生を埃まみれで走っているのです。

何かにやる気があるわけでもない。努力が報われるわけでもない。大きな夢を叶えるわけでもない。ただ、他人がひしめく大都会で今この瞬間を生きること。日々流されるように歩きながらも、立ち止まって誰かの人生の息吹を感じること。それが『ボクたちはみんな大人になれなかった』での青春なんだと思ったし、私が過ごした青春ともオーバーラップした。

主人公がしきりにチェックするFacebookは、ダメ押しのようにそんな青春を終わらせないようにする

しょうもない青春は終わらず輝いていて、ボクたちはみんな大人になれなかった、し元々ならないものなのなのかもしれません。

頑張らなかったけど、踏ん張ってはいたあの日。東京で必死に過ごした日々を肯定できる気がしました。少なくともゴミではない。埃まみれの青春が強烈に眩しく思えるようになりました。